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~旅たび、世界へ!~

日本人移民の人々の歴史と今。

日本人移民の方々の開拓、繁栄、苦労の歴史、そして、今。

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今日は朝からトメアスー文化農業振興協会へ向かい、
数年前まで協会の事務局長をされていた稲木さんに、
アテンドしていただき、資料室を見学させていただくことに。

稲木さんは、子供の頃に移住されて50年、
ここトメアスーで生活されているという。

協会の2階にある資料室は、とてもきれいな施設になっていて、
歴史を知ることのできる写真と文章が載せられたパネルを見ながら、
トメアスーの日本人移民の方々の歴史や今を知ることができる。

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ここトメアスーへの日本人移民の移住は、
1929年に南米拓殖株式会社の移住者42家族が入植したことに始まる。
しかし、南米拓殖株式会社は、経営にゆきづまり、
移住者たちは自立のためにアカラ野菜組合を結成し、
農業をしながら、生活を自活していった。

その後、第2次世界大戦中には軟禁状態になり、
組合も州政府の管理となっていた。
戦後には、組合活動も回復し組合中心の自治を確立。

戦後には、育成・増殖されていた胡椒の価格が高騰し、
50年代前半のトメアスーは胡椒景気に沸き、
胡椒で得た利益をつぎこんだ「ピミエンタ御殿」が次々と建てられ、
組合は販売体制を整えるなど、組合事業を発展させ、
農業試験場や病院などの運営を手がけるなど、地域発展に貢献。

しかし、1970年代には胡椒が病害にあい、大きな損害を被ることになる。
多くの人々が新しい農地を求めて出ていくほか、
胡椒の単作であった農業運営を反省し、
カカオやマラクジャなどの栽培も開始された。

現在では、胡椒、カカオ、マラクジャの混作を行い、
アグロフォレストリーという新しい農法として、
環境保護、継続的な農地利用の観点からも注目されている。

大まかな歴史をパネルを見ながら、
稲木さんに説明していただき、現在の農業の様子や、
ジュース工場、販売体制などについても、いろいろ説明していただく。

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資料室には、日本から持ち込んで使われていたという学校の教材、

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娯楽用品としての古い日本の歌謡曲レコードや映写機、
古くから活発に行われていたという野球大会の道具なども展示されている。

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ジュース工場などの設立や農業手法の確立にいたっては、
日本政府、JICAからの援助も多くあったという。

資料室をひととおり、見学させていただいたあとは、
稲木さんに案内していただき、農園と工場の見学へ。

まずはジュース工場の見学へ。

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トメアスー地区で栽培され、収穫される、
マラクジャやアセロラ、アサイーなどをジュースに加工するこの工場は、
とても大きく、設備が整っており、まるで日本の工場のよう。

この時期はマラクジャの収穫時期なので、
その加工作業が行われていました。

農業だけではなく、その後の加工から販売まで、
しっかりと体制が整えられているという印象は、
これまでに訪れたほかの日本人移住区とは、また少し違っていて、
組合や協会がとてもしっかり機能していると感じました。

そして、その後、実際に農場へ足を運び、
アグロフォレストリーの農業手法の実際を見学させていただくことに。

過去に大きな収益を得、現在でも収益性の高い作物である胡椒だが、
どうしても病害を抑えることはできず、
数年から15年のスパンで病害の被害を受ける。

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そのため、胡椒の単作だけでは、持続的に農業を営んでいくことはできない。
農地をうまく活用し、収益を安定的、継続的に確保するため、
現在、カカオやアサイーヤシなどとの混作の手法を模索している。
収益を確保というのが、一番の目的であることはもちろん、
持続的に農地を有効利用するという観点から、
環境保護の一手法としても、注目を集め、
JICAなどもこの農手法について、研究を行っているという。

この農場でも、アサイーヤシの木の影にカカオの木を植え、
その間に胡椒の木を植林して、混作するかたちを試みており、
その植林の間隔や水のやり方についての研究がされている。

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実際に農場を見学させていただいて、
いろいろとお話を伺っていくと、本当に興味深くて、
私の素人的な質問にもひとつひとつ丁寧に応えていただきました。

木からもぎとって、食べさせていただいたカカオの実は、
とっても爽やかなフルーツの味がして、美味しかったです。

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突然の訪問だったにも関わらず、
本当に親切にいろいろと教えてくださって、
すっごく勉強になったし、刺激を受けました。

とても関心があった農業と、その販売体制について、
地球の裏側のブラジルで頑張っておられる日本の方々に会って、お話を伺えたことで、
自分のこれからのことを具体的に考えていく良いきっかけになりました。